「歯周病予防」か「死」か?あなたはどちらを選びますか?
「歯周病予防」か「死」か?あなたはどちらを選びますか?
「サイレント・アーミー」~沈黙の病気~とも呼ばれる歯周病。歯周病はほうっておくと全身疾患を引き起こす引き金にもなりかねない恐ろしい病気です。ここでは、実例をあげてその恐ろしさに迫ってみたいと思います。
歯茎の健康状態と冠動脈性心疾患の関係
心疾患の程度 | 無病 | 歯肉炎 | 歯周炎 | 歯がない |
---|---|---|---|---|
死亡(死因を問わず) | 345人 (9.7%) |
318人 (13.9%) |
556人 (31.1%) |
877人 (40.8%) |
冠動脈性心疾患による死亡 | 92人 (2.6%) |
93人 (4.1%) |
151人 (8.4%) |
255人 (11.9%) |
冠動脈性心疾患による入院 | 231人 (6.5%) |
170人 (7.4%) |
258人 (14.4%) |
413人 (19.2%) |
冠動脈性心疾患全体 | 288人 (8.1%) |
232人 (10.2%) |
349人 (19.5%) |
556人 (25.9%) |
※25~74歳の男女9760人を対象にした調査。歯周病の重症度が増すほど、冠動脈性心疾患になるリスクも高くなります。
早産・軽量児と歯周病の関係
歯周ポケットの拡大度比較
正常体重児を産んだ母親と早産・軽量児を産んだ母親の歯周ポケットの拡大度を比べてみると、早産・軽量児群の方が深く、歯周病になりやすいことがわかってきました。
原因別で見る早産リスク
124人の妊婦について早産の有無と原因を調べたアメリカの調査では、健康な女性を基準とすると、歯周病にかかっている女性は7.5倍も早産しやすいことがわかってきました。
全身疾患と歯周病の関係
「歯周病」は、「沈黙の病」などと呼ばれるように痛みなどの自覚症状が出にくく、それが災いして予防を怠りがちになったり、進行が進んでしまうことがあります。そして、それだけにはとどまらず、放置しておくと、影響は全身に及ぶことが近年の研究で明らかになってきました。
呼吸器
肺炎・喘息・咽頭炎などを起こしやすくなる。
心臓・血管
致命的な心臓発作を起こすリスクが2.8倍になる。
子宮
早産(低体重出産)のリスクが7.5倍になる。
早産は新生児死亡原因の第1位
糖尿病
歯周組織の感染症や炎症はインシュリン抵抗性を高め、血糖値のコントロールが困難に。結果として糖尿病が悪化。
口腔細菌と全身疾患の関係
口の中には驚くほどの細菌が棲みついています。およそ300種類の細菌が1mℓの唾液中に1億~10億も潜んでいます。
この「口腔細菌」が口臭や歯垢・歯周病の原因となる訳ですが、最近の研究で全身の病気とも深い関わりがあることが明らかになってきました。
口腔細菌は命とり?
口臭・歯垢・歯周病の原因は単に年齢を重ねたからだと思われがちですが、これらの病気は「口腔細菌」により感染症にかかった結果であると言えます。歯を失う原因となる虫歯や歯周病も、そもそもはロの中に潜む細菌の仕業なのです。
そして、この「口腔細菌」は口の病気だけにとどまらず、全身の疾患にも深く関わりがあることが近年の研究で明らかになってきました。
例えば、高齢者の死因のトップを占める「肺炎」は口腔細菌によって引き起こされることが非常に多く、高齢者は抵抗力が落ちているため、吸引された口腔細菌が肺胞に付着して増殖し、炎症を引き起こすのです。
この他、細菌性心内膜炎や早産、糖尿病、骨粗鬆症、動脈硬化、腎炎、関節炎、皮膚炎などいろいろな全身疾患の悪化因子にもなります。口腔細菌が歯グキから血液中に入りこんで全身にまわり、それらの病気を引き起こす原因となるのです。
「実際、歯周病を治療してロの中を清潔に保つように心がけるようになったら、血糖値やコレステロール値が下がったという報告もあるほどです。特に抵抗力の落ちたお年寄りや持病のある人は、口腔細菌を甘く見ていると命とりにすらなりかねない。口腔細菌を減らすよう日ごろから注意することが大切です」と東京歯科大学微生物学講座の奥田教授は指摘しています。
「口腔細菌」に打ち勝つ方法
「口腔細菌」がいかに恐ろしいものかはご理解いただけたでしょうか?それではここで口腔細菌撃退法を説明しましょう。
毎日のブラッシング
毎日(できれば毎食後)きちんとブラッシングをして口の中を常に清潔に保ちましょう。
但し、「磨いている」つもりでも「磨けていない」場合がありますので、歯科医にしっかりとしたブラッシング方法を指導してもらいましょう。
定期検診
日ごろ丁寧にケアしているつもリでも、自分では取りきれない歯の汚れがあるものです。1ヶ月~6ヶ月に一度は定期検診に行き、専門家である歯科医師に診てもらい、歯と歯グキの健康チェックをしてもらいましょう。
歯と全身の健康を守るには、「口の中をきれいに殺菌し、いつまでも清潔に保つ」ことがとても重要なポイントになります。